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ダイオードの種類や構造

ダイオード

ダイオードは、ギリシア語の 2(di)と電極(electrode)を組み合わせた造語です。元々は真空管で、電源の整流用やラジオの検波(復調)に使用されました。その機能は、片方向にしか電流を流さない、ただそれだけでしたが、そのサイズは大きく、ちょうど、野菜の茄子くらいの大きさでした。俗称も、ナス管と呼ばれていました。

サイズは、ナス管→ST管→GT管→mT(ミニチュア)管と小型化が進みました。戦前・戦後は ST 管や GT 管が主流で、mT 管の登場は昭和30年頃と記憶しています。小型化が進んだ mT 管でも、ヒトの親指程度のサイズだったので、その機能に比べると大きなものでした。

整流用のダイオードは、わりに早い時期にセレン整流器というセレンを用いたダイオードに置き換えられました。なお、歴史的には真空管よりセレンの方が古いのですが、実際には、真空管からセレンに置き換わったイメージです。検波用は、低周波増幅用の真空管の中に同居する形(複号管)で単独で用いることはなくなりました。

半導体ダイオード

上述のセレン整流器はセレン(元素記号 Se)を用いたダイオードで、電源の整流用のみに用いられました。これも、サイズが大きいことと、セレン自体の毒性のために、シリコンダイオードに置き換えられました。

セレンの後に登場したダイオードが、ゲルマニウム(Ge)ダイオードやシリコン(Si)ダイオードです。ゲルマニウム・ダイオードは、ラジオ少年が組み立てたゲルマニウム・ラジオに用いられました。ゲルマニウムは、シリコンに比べて原料が高い、高温に弱いなどの理由で、一部を除いて、シリコンにとって変わられました。

ここまでは、当初の整流と検波という機能しか使用されませんでしたが、その後、これ以外の機能を使用するようになりました。整流用も含めて、以下に機能別に述べます。

整流ダイオード

プラスからマイナスに変化する交流の片方だけ通すように働かせます。二極真空管の時代は、整流する電圧が 200V 以上のことが多く、それほど、順方向電圧(電圧ドロップ)については気にしなかったが、回路が半導体になって、電圧が低くなると、電圧の利用効率の面で、順方向電圧による電圧ドロップを気にするようになりました。シリコンダイオードの順方向電圧は、0.7V から 0.8V ですが、ショットキー・バリア・ダイオード(SBD)の順方向電圧は、その半分程度なので、整流用にはショットキーダイオードが主に用いられます。ショットキー・バリア・ダイオードとは、PN ジャンクションによるダイオードに対して、金属と半導体との接合によるダイオードです。順方向電圧が小さいことと、逆回復時間が短いため、高速スイッチングにも用いられます。

SBD は、このほかに、TTL 時代の信号伝送の際に、反射を抑制するための、クランプダイオード としても多用されました。また、ショットキー TTL(74S や 74LS など)は、トランジスタの飽和を防ぐために、トランジスタのベースとコレクタ間に SBD を接続した形で存在しました。

定電圧ダイオード

逆方向に電圧をかけると、ある電圧でツェナー降伏が生じる特性を利用して、図1 に示すように、一定の電圧を得る場合に用いられます。この降伏電圧は、不純物の添加具合によって選択できます。

Article header 130521 fig1  1

図1 ツェナーダイオードによる定電圧回路

また、5.6V 以下はツェナー降伏を、それ以上は、アバランシェ降伏が支配的ですが、名称としてはツェナー・ダイオードが用いられます。温度による影響は、この 5.6V 付近が最も小さく、5.6V 以下では負の温度係数、5.6V 以上では正の温度係数を持ちます。

フォト・ダイオード

ダイオードに逆バイアスをかけて、接合面に光を照射すると逆電流が増加します。この電流を検出することにより、光・電圧(O/E)変換が行えます。

Article header 130521 fig2  1

図2 O/E 変換回路

図2 に示す、O/E 変換回路では、電流源(インピーダンスが無限大)の電流変化を検出するので、わずかな静電容量でも時間応答が遅くなるため、定容量化が図られます。このため、静電気保護回路を接続できないので、静電気対策に最も気を付ける回路で、一般的には、パッケージ内に O/E 回路を収めることが多いようです。この O/E 回路は、電源のノイズを最も受けやすい回路の代表としても有名です。なお、太陽電池もこのフォト・ダイオードの分類に入ります。

可変容量ダイオード

ダイオードに逆バイアスをかけることにより、空乏層の厚みが変化することを利用して、端子容量を電圧で変化させます。インダクタと組み合わせることによって共振周波数を変えることができるので、ラジオ、テレビ、VCO や周波数シンセサイザなどに用いられます。可変容量ダイオードを用いる前は、バリコン(バリアブル・コンデンサ、英語ではVariable Capacitor)が用いられていました。バリコンは、回転軸を回すことにより、例えば、半円状の平行平板の重なり具合を変える可変容量キャパシタです。ラジオやテレビの周波数同調には必須だったので、これらの小型化に大きく寄与したと考えています。

発光ダイオード(Light Emitting Diode : LED)

よくご存じの、半導体に順方向電圧をかけた際に発光する半導体素子です。

江崎ダイオード

トンネル効果により負性抵抗が現れる現象を利用したものです。マイクロ波の増幅回路などに用いられます。

PIN ダイオード

P 型半導体と N 型半導体との接合の間に、真性半導体を介在させたもので、順方向では可変抵抗として働き、逆方向ではキャパシタのように振る舞います。高周波信号のスイッチ、自動利得制御回路(AGC)などに用いられます。

たかがダイオードですが、同調回路に使ったり、光を出したり受けたり、増幅回路や発振回路になるものもあります。3端子のトランジスタより機能が広いかもしれません。

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