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高精度な電流検出を実現する電流センスアンプの仕組みとメリット・デメリットとは

あらゆる分野で求められている電流検出

スマートフォンをはじめとするモバイル製品や、PC、テレビなどの家電製品。ファクトリオートメーションなどの産業用機器、通信機器、自動車、医療機器、航空機まで。今日ではエレクトロニクス・アプリケーションの多くの分野で、「電流検出」のニーズが高まっています。

アプリケーションの安全性を確保するためには、精度の高い「電流検出」が重要であり、また、システムの効率を向上させるためにも、電流や電力の管理は不可欠なのです。

さらに、ほとんどのアプリケーション分野において、機器の小型化、高性能化が求められており、回路設計者はいかに小さな基板面積で高精度な電流検出回路を組込むかに頭を悩ませています。

「電流検出」にはいくつかの方法があり、そのメリット・デメリットを理解したうえで、自分の設計する回路にベストな方法を見つけていくことが大切です。

電流センスアンプはどのように電流を測定してるのか?

抵抗間に電流が流れるとオームの法則によって電圧が発生しますが、電流センスアンプはその抵抗間の電圧を測定する事で電流を検出します。電流を検出するための抵抗を”シャント抵抗”と呼びます。

シャント抵抗の値を大きくすると、流れる電流の二乗に比例した電力損失(I^2 x R)が大きくなるため小さくした方が省電力ですが、小さくした場合、シャント抵抗の両端は電流センスアンプに内蔵されているオペアンプ(差動アンプ)の入力となるため、オペアンプのオフセットが気になるところです。

また、シャント抵抗間の電圧はシャント抵抗値にもよりますが通常小さな差電圧となるため、基本的な構成として抵抗を用いたゲイン回路(増幅回路)を内蔵しています。

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電流センスアンプの内部構造

ディスクリートで組むか?専用ICを採用するか?

「電流検出」を実現するためには、いくつかの方法があります。これまでの代表的な方法は、ディスクリートのオペアンプを使う方法でした。専用ICである“電流センスアンプ“を使用することで、電流検出回路の「小型化」「高精度化」「設計工数の削減」「部品点数の削減」などが実現できます。

電流センスアンプはすでに、モータやソレノイドの制御、アクチュエータ制御、バッテリ寿命インジケータ、過電流保護・監視回路、DC/DCコンバータ、ファクトリオートメーション、医療診断機器、ノートPCなど、広範囲なエレクトロニクス・アプリケーションの分野で活用されています。

電流センスアンプを使う4つのメリット

電流センスアンプを使うメリットは大きく以下の4点があげられます。

ゲイン回路内蔵

外付け抵抗でゲイン回路を用意する必要が無く各種のゲイン・オプション(例:20、50、100、200V/V等)を用意しています。また、精密にマッチングされた抵抗性ゲイン回路を内蔵しているため、温度やプロセスの変化に対して安定した性能を持っています。

コモンモード電圧範囲(GND基準の入力DC電圧範囲)が大きい

オペアンプは基本的に電源電圧以上の電圧を入力できませんが、電流センスアンプは電源電圧範囲を超える入力電圧をサポートするように設計されています。
例:INA282は2.7V電源で-14~+80Vのコモンモード電圧をサポート

内蔵アンプのオフセットが小さい

従来は、高いオフセットによるオペアンプへの影響を軽減するために、値の大きなシャント抵抗を使用して電圧降下の測定値を増加させていましたが、オフセットが小さい(例えば10uV)オペアンプを使用する事で低電流での測定精度を高め、値の小さなシャント抵抗を使用してシステム効率を向上できるようになっています。

温度安定性

オペアンプとともに全てのゲイン設定抵抗が内蔵されているため、温度ドリフトは小さく、一貫した値です。これにより、仕様温度範囲の全体にわたって堅牢な電流測定が可能になります。

特長を見極めて最適な測定方法を選ぶ ~ローサイド電流検出とハイサイド電流検出~

「電流センスアンプ」は、シャント抵抗を配置する場所によって、測定の方法が違ってきます。抵抗を負荷とグランド(GND)との間に配置する方法は「ローサイド電流検出」、抵抗を電源と負荷の間に置く方法は「ハイサイド電流検出」と呼ばれています。

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出典:Texas Instruments - セレクション・ガイド 『電流検出アンプ』

どちらの測定方法にも、メリットとデメリットが存在します。

ローサイド電流検出のメリット

ローサイド電流検出の利点の1つは、コモンモード電圧がゼロに近いことです。これによって、アプリケーションの回路の設計や、この測定用のデバイス選択が簡単になります。

電流センスアンプから見える電圧がグラウンドに近いため、非常に高い電圧を取り扱うとき、または電源電圧にスパイクやサージが発生しやすいアプリケーションでは、この電流測定方法が好まれます。

また、高電圧スパイクへの耐性と、高電圧システムの電流を監視できることから、ローサイド電流検出は車載用、産業用、テレコムのアプリケーションで広く使用されています。

ローサイド電流検出のデメリット

ローサイド電流検出の主な欠点は、シャント抵抗の両端での電圧ドロップが、電源グランドと負荷/システム・グランドとで差分として見えることです。他の回路が電源グランドを参照している場合、これが問題となる可能性があります。この問題を最小化するため、連係動作を行う回路はすべて、同じグランドを参照する必要があります。シャント抵抗値を小さくすると、グランドのシフトを最小にできます。

ハイサイド電流検出のメリット/デメリットはローサイド電流検出の真逆

ハイサイド電流検出のメリットとデメリットは、ローサイド電流検出とは真逆になります。表にすると以下のようになります。

ハイサイド電流検出とローサイド電流検出のメリットとデメリット
メリット デメリット
ローサイド電流検出
  • コモンモード電圧が低い(ゼロに近い)
  • 電源電圧で発生するスパイクやサージを考慮しなくても良い
  • 低コスト
  • システムグランドと負荷グランドとで差分が発生
  • 電源電圧の短絡電流は検出できない
ハイサイド電流検出
  • グランドに影響しない
  • 電源電圧の短絡電流を検出できる
  • コモンモード電圧が高い
  • 高コスト

システムの効率を向上させる「電流検出アンプ」

配線のショートや過電流からシステムを守り、システムの効率を向上させる「電流検出アンプ」。各社から様々な製品が出ていますが、Texas Instruments社(以降TI社)には、出力形式別に、アナログ出力タイプ、コンパレータ内蔵タイプ、デジタル出力タイプの3種類、また、シャント抵抗を内蔵している製品もあり、新製品も続々と発売されています。

これから開発予定の回路に最適な「電流検出アンプ」がすぐに見つかるTIの情報サイトへ、ぜひ豊富な製品をご覧ください。

http://www.tij.co.jp/ja-jp/amplifier-circuit/current-sense/overview.html

また、電流センシングに関するドキュメントも豊富にご用意しています。こちらも活用されてはいかがでしょうか。
http://www.tij.co.jp/ja-jp/amplifier-circuit/current-sense/overview.html#technical-resources

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