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ゼロ・ドリフト ナノパワーオペアンプの3つの特長

ホーム、インダストリアル向けのIoT発展が進み、センサ/検出部がバッテリ駆動となる製品が増えています。
バッテリ駆動となるため、消費電力を削減する必要がありますが、精度はこれまでと遜色なく動作させる必要があります。
そこでこの低消費、高精度の要求を満たすためにTexas Instruments社(以降TI)より、業界初のゼロ・ドリフト ナノパワーオペアンプのLPV821がリリースされました。

ゼロ・ドリフト ナノパワーオペアンプがどういった技術なのか、特長について解説します。

ゼロ・ドリフト ナノパワーオペアンプの特長

特長1:650nAの超低消費電流

TIでは自己消費電流がnAオーダーのオペアンプをナノパワーオペアンプと呼んでいます。
LPV821はそのナノパワーアンプの製品の一つです。
オペアンプの消費電流は帯域幅、スルーレート、ノイズとのトレードオフです。低消費電流を実現するため、DCに近い信号を測定することを想定した設計とし、消費電流を下げています。

消費電流が減ることで、バッテリー駆動機器の使用可能時間を改善させるだけでなく、装置のサイズ、コスト、重量の軽減も期待できます。

特長2:高いDC精度

オフセット電圧±20uV、オフセット電圧ドリフト0.08uV/℃の高いDC精度により、対電力で良好な精度を得られます。オフセット電圧、オフセット電圧ドリフトが小さいことは電力削減にも役立ちます。
例えば電流検出にオペアンプを使用する場合です。

通常は下記図のようにシャント抵抗に電流を流し、シャント抵抗の電圧を測定することが一般的です。

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出典:Texas Instruments - アプリケーション・ノート 『Advantages of Using Nanopower, Zero Drift Amplifiers for Battery Voltage and Current Monitoring in Portable Applications』

オフセット電圧が大きいと、シャント抵抗と電流により発生する電圧が大きくないと、信号に対するオフセットの比率が大きくなり、精度が悪くなってしまいます。オフセット電圧が小さいということは、低い抵抗値でも精度を得やすくなるということです。
低い抵抗値を使えると、電流と抵抗による電力損失が小さくなり、消費電力の削減に貢献します。

特長3:1/fノイズが存在しない

特長1の消費電流の項目にてお話した通り、LPV821はDCに近い信号用のオペアンプです。しかしながら、通常、オペアンプには1/fノイズ(ピンクノイズ、フリッカノイズとも呼ぶ)と呼ばれる低周波に存在するノイズがあります。

DCに近い低周波の信号を測定する場合に、1/fノイズが存在することで、測定精度に影響を与えてしまいます。しかし、オフセット電圧およびドリフトを最少にしたゼロドリフトアンプと呼ばれるアンプでは、原理的に1/fノイズが発生しません。これはDCに近い信号を測定する際に大きな利点となります。

なぜゼロドリフトアンプでは1/fノイズが発生しないか

ゼロドリフトアンプは、自己補正技術によって、オフセット電圧、オフセット電圧ドリフトを削減します。この自己補正技術による低オフセット電圧、低オフセット電圧ドリフトは下記のようにオペアンプの入出力経路を切り替えることで実現しています。

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出典:Texas Instruments - アプリケーション・ノート 『Zero-drift Amplifiers: Features and Benefits』

このように内部でスイッチングしているため、低周波に存在する1/fノイズがなくなります。また、ゼロドリフトアンプと通常のアンプを比較したノイズ特性が下記になります。低周波のノイズがゼロドリフトアンプでは小さいことが分かります。

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出典:Texas Instruments - アプリケーション・ノート 『Zero-drift Amplifiers: Features and Benefits』

利用する際の注意点

ここまでメリットとなる点についてご紹介してきましたが、ゼロドリフト ナノパワーオペアンプを使う上で1つだけご注意いただきたいことがあります。それは、内部でスイッチングしているため、下図のようにスイッチング周波数によるノイズが若干表れてしまうことです。

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出典:Texas Instruments - データ・シート 『LPV821』

対策としては、フィルタを追加しゼロドリフトアンプ のスイッチング周波数を除去する必要があります。また、アンプに入力する信号の周波数をフィルタの帯域の影響を受けない周波数とする必要があります。

ゼロドリフト ナノパワーオペアンプを利用したアプリケーション例

ガス検知器、フィールド・トランスミッタやバッテリーパックなど、高精度と低消費電力のシステム要件重視の各種アプリケーションが例に挙げられます。また、TI社より無償提供されている2点のリファレンス・デザインも併せてご紹介します。

アプリケーション例

  • ガス検出器
  • ダクトレス・エアコン屋内システム
  • 光センサ
  • 冷蔵庫と冷凍庫
  • 化学/血液ガス分析器
  • 患者モニタリング(有線)
  • 点滴用ポンプ
  • 無線環境センサ
  • 煙および熱検出器
  • 空気品質およびガス検出
  • 透析装置
  • 電子温度計
  • 電気歯ブラシ

リファレンス・デザイン1:コイン型電池の 10 年の寿命を実現した低消費電力一酸化炭素検出器

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リファレンス・デザインから作成したボードイメージ図

このデザインは、ナノパワーオペアンプ、コンパレータ、システム・タイマ、温度センサ、SimpleLink™ 超低消費電力 2.4GHz ワイヤレス・マイコン(MCU)プラットフォームを使用し、超低消費電力の一酸化炭素ディテクタのためのリファレンス・デザインです。

非常に長いバッテリ寿命を実現するこの技術は、標準的な CR2032 リチウムイオン・コイン・セル・バッテリ 1 個で 10 年以上の寿命を実現し、ガス検出や大気循環監視などのアプリケーションにも採用されています。

http://www.tij.co.jp/tool/jp/TIDA-00756

リファレンス・デザイン2:低消費電力の化学ガスセンサアンプ

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リファレンス・デザインから作成したボードイメージ図

このリファレンス・デザインは、バッテリ駆動のポータブルや、長寿命のポータブル、または固定リモートロケーションデバイス用の低消費電力「ポテンショスタット」タイプの電気化学センサ回路で構成されています。 ナノパワー増幅器と基準回路を使用することにより、回路を監視プロセッサとは独立して連続的に機能させることができ、センサのバイアスを維持して起動時間を短くすることができます。

http://www.tij.co.jp/tool/jp/TIDA-00854

低消費電流かつ、高精度検出が必要なアプリケーション向けに開発されたゼロドリフト ナノパワーオペアンプ

今回は、ナノパワー・ゼロドリフトアンプの特長をご紹介いたしました。このようなデバイスを使うことにより、低容量のバッテリで長いシステムライフタイムを有し、小型、軽量、低コストのシステム開発に役立ちます。

特に、下記のようなオペアンプをお探しの方にはナノパワー・ゼロドリフトアンプである TIのLPV821 がおすすめです。

LPV821は、こんなオペアンプを探している方におすすめ

  • 低消費電流 + 高精度なオペアンプ
  • IoTに利用できそうなセンサ出力のオペアンプ
  • バッテリ駆動のセンサノードに使用するオペアンプ

LPV821について詳細な情報をお求めの方は是非お問い合わせください。

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