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EtherCAT® とは -5分で分かる概要

日頃、オフィスや家庭内で何気なく使用しているPCや家電は、Ethernetでネットワークに接続され、膨大な情報のやり取りをしています。データ量の増加に伴い、通信の高速化・通信経路の効率化を図り、万が一衝突した場合も再送をする、そういった仕組みがあるからこそ、Ethernetは一般的に広まったといえます。

一方、産業の現場では、ネットワークに接続される機器が膨大であること、情報の伝達が確実でリアルタイムであることなど、一般的なネットワークとは異なる条件が求められます。そんな条件を満たす産業用オープンネットワーク "EtherCAT®" について、どのような規格なのか、Ethernetとはどこが違うのかなど、皆さんが疑問に思われる点を解説します。

EtherCAT® ってなに?

EtherCAT® とは、Ethernetと互換性のある産業用オープンフィールドネットワーク規格の一つで、ドイツの企業 ベッコフオートメーションが提唱しています。主な特徴は、高精度な同期制御を実現可能(機器間で1usの同期が可能)で、さらに二重化が可能(通信経路やスレーブ障害によるネットワーク全体のダウンを防止)です。

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EtherCAT® の位置づけ

EtherCAT® が使用されるアプリケーション

実際にどのようなアプリケーションでEtherCAT® が使用されているのでしょうか。
FA(ファクトリーオートメーション)では、工場のラインに設置されているセンサやカメラ、モーター、入出力(I/O)機器、それらを束ねるコントローラなど、様々な機器が接続されています。その機器同士を接続し、産業用の条件を満たした通信をするのがEtherCAT® です。

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EtherCAT® が使用されるアプリケーションイメージ図

EtherCAT® とEthernetの違い

一般に広く使われるEthernetとはどこが違うのでしょうか。実際に設計する際に考慮すべきいくつかのポイントを、表で比較してみます。

比較項目EthernetEtherCAT®
物理層のハードウェア構成同じ(MCU-EthernetPHY-Pulse Trans-RJ45)
物理層デバイス(Ethernet PHY)の産業用対応不 要要耐環境性 高ESD保護、
高動作温度範囲 (-40℃~85℃)
ネットワーク層より上位層TCP/IPプロトコル UDP/IPプロトコルIndustrial Ethernetプロトコル
最大接続数上限なし上限あり(65535台)

EtherCAT® はFAでの使用が求められるため、物理層のPHYデバイスに耐環境性が問われますが、ハードウェア構成はEthernetと同じです。

通信におけるソフトウェア処理ではイーサネットフレームを使用しますが、TCP/IPプロトコル処理はせず、ベッコフオートメーションが提唱しているIndustrial Ethernet(IE)プロトコル処理をします。IEプロトコルはハンドシェイクによる機器同士の送受信確認がなく、これにより高速応答性を実現しています。

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EtherCAT® とEthernetの違い

EtherCAT® のシステム構成と実際の動作

EtherCAT® を使用する場合のシステム構成と通信の動作を見ていきましょう。

システムはMasterとSlaveで構成され、以下の各接続が可能です。
  • デイジーチェーン
  • スター型
  • リング型

下図はデイジーチェーン接続を表しています。こちらで実際の動作をご紹介します。

  1. Masterから送信されたフレームが、各Slaveを通過
    イーサネットフレームはMasterから送信され、順番に全てのSlaveを通過して再びMasterへ戻ってきます。
  2. 1 の際に、フレームに各ノードで送信データの書込み
    EtherCAT® で使用されるイーサネットフレームのデータ部には、各Slave毎に出力/入力データビットが与えられています。また各Slaveは自分に与えられたビット位置・幅も把握しているので、そちらに送信データを書き込みます。
  3. 2 の後に、フレームから各ノードで受信データの読み込み
    送信データの書き込みが完了したら、各Slaveは受信データを読み込みます。

このような通信方式で、高速性とリアルタイム性を実現しています。

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EtherCAT® 通信動作イメージ

耐環境性に優れたTexas Instruments社製品 Ethernet PHY DP83822

FAで使用されるPHYには、前述のとおり、耐環境(広範囲な温度)、耐性電気等(ESD保護)、堅牢さが求められます。これらを満たすTexas Instruments社(以下TI社)製品 Ethernet PHY DP83822の特徴をご紹介します。

Ethernet PHY DP83822の特徴

  • 静電気放電(HBM):±16kV以上
  • 静電気放電保護性能:±8kV以上(IEC61000-4-2準拠)
  • 対応温度範囲:-40~125℃、-40~85℃
  • リンクロスリアクション時間:10µs未満(CAT向け)/250us(Net向け) 各種設定が可能
  • 小パッケージ:32pin VQFN(5.0mm x 5.0mm)

本製品を搭載した評価ボードや、EtherCAT® リファレンスボードをご用意しております。ぜひご活用ください。

製品の詳細はこちら

DP83822I ※対応温度範囲:-40~85℃
DP83822H ※対応温度範囲:-40~125℃
DP83822 EVM
DP83822搭載 EtherCAT® リファレンスボード

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左:DP83822 EVM / 右:DP83822搭載 EtherCAT® リファレンスボード

最後に

EtherCAT® について概要をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。産業用ネットワークの開発が加速している中でEtherCAT® の存在感は益々増しています。ぜひご開発の参考にしてください。さらにファクトリ・オートメーションに関する情報を知りたい方は以下のページをご覧ください。

ファクトリ・オートメーション
http://www.tij.co.jp/lsds/ti_ja/applications/industrial/factory-automation/overview.page

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ファクトリ・オートメーション

掲載アプリケーション
自動機器 / フィールド・アクチュエータ / フィールド・トランスミッタ / プログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC) / ヒューマン・マシン・インターフェイス(HMI) / 産業用ロボット / ロジスティクス・ロボット / マシン・ビジョン


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DP83822 EVM

※以下はいずれも1個単位から購入できますが、フルリールの個数が異なるため別の型番となっています。
 製品のスペックに差異はありません。

DP83822IRHBR 対応温度範囲:-40~85℃ (リール をすべて購入するには、3000 の倍数で注文してください)
DP83822IRHBT  対応温度範囲:-40~85℃ (リール をすべて購入するには、250 の倍数で注文してください)
DP83822HRHBR 対応温度範囲:-40~125℃ (リール をすべて購入するには、3000 の倍数で注文してください)
DP83822HRHBT 対応温度範囲:-40~125℃(リール をすべて購入するには、250 の倍数で注文してください)

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