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様々なアナログセンサ入力を考慮した、IoT向けアナログ回路設計

IoT時代の多種多様なアナログセンサについて

私たちの身近にある製品には様々なセンサが使われています。近年、IoTで注目されている分野をみても多様な目的でセンサが使用されていることが分かります。

センサ利用例
工場:工作機械に取り付けた振動センサなどの情報を集めて分析。遠隔監視や予知保全などに活用
農業:温度や湿度、土壌の水分量などの情報を集めて分析。水やりの頻度、肥料のタイミングなどの調整に活用
ヘルスケア:心拍など身体の情報を集めて健康状態を判別するために活用

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ここで、センサの出力が統一されていれば楽なのですが、もちろんそうではありません。
モジュールタイプであればデジタル出力もありますし、アナログでも振幅が違う、差動/シングル出力、出力インピーダンスが違う、などセンサによって出力方法が異なるのが一般的です。

センサ情報を集めるターミナル機器にはセンサ情報を得るためのアナログ入力がありますが、この部分の設計はどうすればよいでしょうか?もちろんセンサが決まっていれば簡単です。それに合わせて作りこめばよいだけです。

しかしながら多種多様なセンサがつながることが想定されるターミナル機器も確かに存在しています。そのような場合はどうすればよいでしょうか?

様々なアナログ入力を考慮したアナログ回路設計の考え方

まずは振幅が違うアナログセンサ入力を考えてみます。
基本的にはオペアンプの基礎の基礎であるオペアンプの増幅回路の調整をすることになります。

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アナログセンサ入力信号を増幅させる回路の一例

つまり増幅率は上記のR1とR2の比で決まりますので、この抵抗を調整すれば様々な振幅の入力に対応できます。
ソフト的に抵抗を変更できた方が量産時は楽ですので、デジタルポテンショメータを使うのが良いかと思います。

アナログ・デバイセズ社では様々なタイプのデジタルポテンショメータを用意していますので、参考にしてみてください。
アナログ・デバイセズ社 デジタルポテンショメータ製品ページ
アナログ・デバイセズ社 デジタルポテンショメータFAQ

あとは抵抗を並べて、使う抵抗をアナログスイッチで選択する、という手も考えられます。

ただ、いずれにせよ、抵抗値の選定、抵抗のばらつきの考慮、レイアウトの考慮、などなどいろいろと検討しなければいけないのが事実です。簡単な回路とはいえ考えることは少なくありません。

ここではもっと簡単な方法をお伝えしたいと思います。

アナログ・デバイセズ社 Circuits from the Lab の活用

アナログ・デバイセズ社からはCFTL(Circuits from the Lab)というリファレンス回路が提供されています。

CFTLを簡単に説明しますと、何かの機能を実現するためのリファレンス回路集なのですが、その回路は机上だけでなく実際に評価ボードとして提供されており、その回路図やレイアウト情報、さらには実験データなども合わせて提供されています。動作実績のある回路の一部、または全部をそのままユーザーが使うことができます。

Circuits from the Lab リファレンス・デザイン

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Circuits from the Lab リファレンス・デザイン

振幅が違うアナログセンサ入力に最適なリファレンス・デザイン

今回の用途ではCN0385というCFTLが使えそうです。
ブロック図としては以下のようになっています。

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CN0385のブロック図

信号ラインの構成を簡単に説明します。

  • ADG5027:8ch入力の差動マルチプレクサ
  • AD8251:PGA付計装アンプ
  • AD8475:シングル入力を差動出力に変換する機能を持ったADCドライバ
  • AD4003:18bit、2.0MSPS SARタイプADコンバータ
  • ADuM141E:デジタル信号を絶縁するデジタルアイソレータ

特にAD8251はPGA(Programmable Gain Amp)がついていますので、様々な振幅のアナログ入力に対応可能です。具体的には一般的な下記の入力レンジに対応できます。

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AD8251のプログラム可能な入力レンジ

いかがでしょうか?
CN0385を使えば振幅の問題は解決して、さらにADコンバータや絶縁までできてしまいます。
もちろんここまで高精度なADコンバータが必要なければ置き換えても構いませんし、絶縁が必要なければその部分は使わなくても結構です。

実績のあるCFTLを使うことで設計期間の短縮に大きく寄与できるのではないかと考えております。

CN0385の詳細はこちら
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その他の多様なアナログ入力に対しては

振幅の問題はクリアできたとして、その他さまざまなアナログセンサ出力が存在します。それぞれ考え方を記載していきます。

  • 出力インピーダンスが高いアナログセンサ出力
    フォトダイオードの出力だったり、"ケーブルはシールドの付いたノイズの影響を受けないものを使用ください"といった注意書きのあるセンサのことですね。この場合は初段に「低バイアス」のアンプを使うことが必須となります。
    ADA4610など低バイアスのオペアンプを初段に配置することが望ましいです。

  • 熱電対
    これは少し厄介です。零点保証の回路などをどうするか?という問題があります。もちろん熱電対専用に作ってしまうことも可能ですが、できれば汎用的に作りたいもの。アナログ・デバイセズ社では熱電対専用のアンプが用意されており、熱電対の種類などでAD8494/95/96/97を使い分けることができます。

  • 微小電圧入力
    ロードセル入力などは非常に微小な振幅となります。ゲインとしては100倍以上かけないといけない場合もありますので、上記紹介したCN0385でも対応できない範囲です。高ゲインの場合はオフセットにもゲインがかかるため「低オフセット」というのがキーワードとなります。
    ADA4638など、チョッパータイプでオフセットをキャンセルできるタイプのアンプがお勧めです。

  • 電流入力
    電流入力は抵抗などで電圧に変換して入力することが一般的かと思います。

  • ICPセンサ
    電流源とAC結合の回路が必要になります。

上記のように用途に応じて使えるアンプが異なりますので、ソフト的なコンフィグレーションのみで様々なアナログ入力に対応することは難しいのが現状です。

その中でも汎用的なパッケージ(SOIC8ピンなど)を使うことで、ICの差し替えだけで対応できるようにするのも一考かと思います。(例えばCN0385の前段にSOIC8ピン用のパターンを用意しておいて、センサに合わせてICを選択するなど)

CFTLを利用して回路設計をスムーズに

すべてのアナログセンサを接続できる万能な製品はなかなかに困難ではありますが、アナログ・デバイセズ社ではCFTLでのリファレンス回路や多彩なアナログ製品ラインアップで大部分はフォローできているかと考えております。これらの情報が参考になりましたら幸いです。

Circuits from the Lab リファレンス・デザイン

マクニカでは、Circuits from the Lab リファレンス・デザインを応用し、オリジナル製品(Analog Sensor Terminal)を開発しました。Analog Sensor Terminalは様々なアナログセンサを接続することができ、パソコンやゲートウェイに容易に送信することができる装置です。このことにより豊富なCPUパワーによりエッジコンピューティングの可能性も秘めております。

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システム構成例

 

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