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電源インピーダンス

2つのキャパシタの容量比と並列共振インピーダンス

電源キャパシタの共振』で、直列共振と並列共振とが生じることについて述べました。

ここで、最も簡単なキャパシタが 2つの並列接続の場合に、互いの容量値が近い場合と離れた場合について少し考察してみます。ESL と ESR は簡単のために、いずれも 0.2 nH、0.02 Ω とします。図1 はその計算結果です。

まず近い場合、例えば、0.1 uF と 0.001 uF を考えます。前回のキャパシタの並列接続のエクセルにこれらの値を入れると、35 MHz 付近と 350 MHz 付近の直列共振周波数の間の 250 MHz 付近に極大値の並列共振が生じることがわかります。この並列共振周波数におけるインピーダンスは、グラフから 2 Ω ちょっとと読み取れます。

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図1 2つのキャパシタの容量と合成インピーダンス

次に、これらのキャパシタの容量をもっと遠ざけてみます。0.2 uF と 0.0005 uF にすると、並列共振周波数は 350 MHz 付近になり、合成のインピーダンスも 5 Ω 程度と大きくなることがわかります。逆に、両者の値を近づけて、0.05 uF と 0.002 uF にすると、180 MHz 付近で 1 Ω 程度になります。

これらから、2つのキャパシタの容量が近づくと並列共振点のインピーダンスが低くなり、逆に、離れると高くなることが予想できます。

図2 は、2つのキャパシタの容量の比に対して、並列共振点のインピーダンスを示したものです。容量の比が小さいとインピーダンスが低く、容量の比が高いとインピーダンスが高くなることがわかります。

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図2 2つのCの容量比と並列共振インピーダンス

図3 は、容量比が 10、100、1000 の場合(脚注1)の合成インピーダンスの周波数特性を示します。小さい方のキャパシタの直列共振周波数より高い周波数ではインダクタンスが支配的になり、低い周波数は大きい方のキャパシタでインピーダンス特性が決まります。

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図3 2つのCの並列共振インピーダンスの周波数特性

インピーダンスの平坦化

2つの容量値を近づければ並列共振インピーダンスが下がるが、低域のインピーダンスが高くなる、離せば低域のインピーダンスは下がるが、並列共振インピーダンスが大きくなります。

それでは、広い周波数範囲で低いインピーダンスを得るためにはどのようにすればよいでしょうか。2つの容量値を離して、その中間に第3 のキャパシタを追加することは容易に思いつきます。

図4 は、図3 の 2つのキャパシタの容量比 1000 の場合に対して、第3 の容量、C3 = 0.0012 uF を追加した特性を示します。図3 では並列共振のインピーダンスが 7.9 Ω だったものが、第3 の容量を追加することにより、2.3 Ω までに低減しました。

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図4 第3のキャパシタ追加

さらに、図5 に示すように、第4 と第5 の値の異なる容量を追加することによって、それぞれの並列共振によるインピーダンスのピークが平坦になりました。

まだ平坦性は十分ではありませんし、用いたキャパシタの容量は標準系列ではないので、これ以上の平坦性を達成するには、『電源供給ネットワーク(PDN)解析ツール』で紹介する専用のツールを用います。

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図5 第4 & 第5のキャパシタ追加

インピーダンス全体を下げる

図5 のインピーダンスのピークは、およそ 0.6 Ω です。このピークを下げるには、ここで用いたキャパシタの数を増やします。インピーダンスは、用いたキャパシタの数に反比例します。

図6 は、それぞれの容量が 1個と 2個、および 4個の場合を示します。

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図6 キャパシタの数とインピーダンス

実際には、全ての容量のキャパシタの数を同様に増やすよりも、インピーダンス低減効果を確かめながら、効果のあるキャパシタの数を増減させます。このことについては、『電源供給ネットワーク(PDN)解析ツール』で触れます。

脚注1
容量比 10 は、C1 = 0.0032 uF、C2 = 0.0316 uF
容量比 100は、C1 = 0.001 uF、C2 = 0.1 uF
容量比 1000は、C1 = 0.0003 uF、C2 = 0.3162 uF

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